グランド電柱

このブログ名「(ground)グランド」は宮澤賢治の詩グランド電柱から戴いてきました。検索すれば直ぐに出てきますし、「春と修羅」のなかに含まれている詩ですからご存知の方は多いと思います。ともあれ私なりの受けとめ方を次へ簡単に述べておきます。

 

薄(すすき)の赤い穂で検索すれば「イネ科の一つ」と私でも分ります。米は美味しくて大人気‥ですが地域ごとに食べる物は異なる。ミレーの落ち穂ひろいの絵は麦文化圏のモノでしょうが、賢治の詩の雀はイネ科薄(すすき)を目印にして集ってきたようにも思えます。もしか薄の野原に接した畑に群がっているのかも知れません。

 

賢治の領分(りょうぶん)に入りこんで掠奪(りゃくだつ)している雀を詠んだのか否かは私には分らないが、領分は誰かの勢力の範囲であれば他の者が入るのは憚(はばか)られる。ともあれ生きるしかなくて集って拾っている存在‥落ち穂ひろいの女性たちであり、グランド電柱の雀ってことになる。

 

落ち穂ひろいは畑を持たない貧しい村民たちが生きていけるように地主が認めている西洋文化の一つだったらしいが、(この詩に依れば)雀のほうは掠奪行為と見なされているようだ。女性は女飯(おみなえし)で表現される食料しか食べられなかった頃を思うに、賢治が生きた時代にはナニを食べていたか‥。

ま、こんな詩を詠んでいたら宮澤賢治でなくても余計なことをしやがってと恨まれたり・嫌われるかも知れませんがその確実なところは私に分る筈もありません。ともあれ女性に限らず誰にも他の生き物にも生きることは真剣勝負に違いありません。だからどうする?って知恵を絞っている生き物だよね。 

 

グランド電柱


あめと雲とが地面に垂れ
すすきの赤い穂も洗はれ
野原はすがすがしくなつたので
花巻はなまきグランド電柱でんちゆう
百の碍子がいしにあつまる雀

掠奪のために田にはひり
うるうるうるうると飛び
雲と雨とのひかりのなかを
すばやく花巻大三叉路はなまきだいさんさろ
百の碍子にもどる雀